2006年9月29日（金）
インターネットで韓国の新聞を読んでいて、あっと驚く記事があったのでご紹介。
記事の一部を引用します。
最近韓国では、「皇室」への興味や関心が高まっていました。日本社会の右傾化は「皇室」と切り離して論じられない問題ですし、秋篠宮の第三子誕生を巡る日本社会の動向にも注目が集まり、何かと話題になりました。また、「韓国の皇室が現代にも存続していたら」という仮想の設定を元に、高校生の「皇太子」と彼の同級生で形式的に皇室に嫁入りした庶民出身の「皇太子妃」を主人公にした漫画『궁（クン＝宮）』（日本版タイトル『らぶきょん～LOVE in 景福宮』）が、今年始めにTVドラマ化されて高視聴率を記録したりもしました。このドラマは現在シリーズ第2弾の企画が進んでいます。
社会に格差が厳然として存在し、「階級」という言葉が日常的に用いられる韓国では、漠然と「上流階級」や「貴族的なもの」への羨望を抱いている人も少なくありません。この1～2年にヒットしたTVドラマの主人公は「財閥の御曹司」「大統領の娘」という設定が多く、その流れと見れば「宮」は究極の上流階級を素材にした作品とも言えるわけです。そう言えば、前に韓国人の先生と「皇太子妃」の話になった時、私が「今の日本には『皇太子妃』になりたい若い女性などまずいない。だから今の皇太子もなかなか結婚が決まらなかった」と言ったら、非常に驚かれました。その先生は「皇室は日本最高の上流階級だから、皇太子と結婚するのは年頃の女性の夢。庶民には到底叶わぬ夢だけれど、お后候補に名前の挙がるような良家のお嬢さんは皆、皇太子と結婚したがっていて、その中から雅子さんが選ばれた」と思っていたらしいのですね。日本への留学経験があって、日本の事情にもかなり詳しい先生だったのですけれど。逆に言えば、韓国人の目に「皇室」はそれほど素晴らしいものと映っているということです。
とは言え、実際に韓国の「皇室」が復活するというのは、また別問題。それも国民が望んで復活させるのでなく、当事者たちが勝手に復活宣言したわけで、この「皇室」が韓国社会に受け入れられるのか、一体何をやって行くつもりなのか、日本の皇室とどう接するつもりなのか、今後の展開が興味津々ではあります。
2006年9月22日（金）
日本では去年から「格差社会」という言葉がマスコミで頻繁に取り上げられ、一億総中流の時代は完全に終わったことが確認されるようになりました。翻ってこちら韓国では、経済力や社会的地位、学歴などの差が元々日本以上に強く意識されるお国柄。その結果、温存されて来た格差は近年の経済情勢によって拡大する一方のようです。そんな中、新聞にこんな記事が出ました。
この記事によれば、「高校の修学旅行の行き先を家庭の経済条件によって海外と国内に分けて、グループ別に行う例が増加している」とのことで、韓国の主要地域の高校635校の6.1％に当たる39校が、経済条件によって国内・海外の修学旅行を実際に行っていたり、今後行う予定があると答えたいう調査結果が出ているのだそうです。
記事に載っていた具体例を分かりやすく整理してみました。
と、このように3～4のグループに分けて修学旅行を実施しているのだそうです。家庭の経済状況がピンキリの現在、裕福な家庭に育った子供にしてみれば、20万W程度で行かれる国内旅行には魅力も感じないというのが本音でしょうし、家族が食べて行くのがやっとという家庭では、高校生の子供が100万W近いお金を払って海外へ遊びに行くなんてとんでもない、そもそも無理、というのが実情でしょう。
韓国の社会を見ていると、このような「グループ分け」は合理的とも思えるのですが、実際に教育の現場ではどう受け止められているのでしょう。「格差社会」とやらになったらしい日本でも、修学旅行の「グループ分け」を採用する高校がもう登場しているのでしょうか。
2006年9月20日（水）
私は『씨네（cine）21』という映画雑誌を毎週愛読しています。韓国映画情報が充実していて読み応えのある記事が多いというのが愛読の理由ですが、もう一つ、巻末に載る見開き2pカラー読み切りの「정훈이 만화（チョンフニ マンガ）」というマンガが気に入っているからでもあります。このマンガは、その時々の話題の映画のパロディマンガであると同時に、毎回登場する男性主人公「ナム・ギナム」のすっとぼけた言動が笑えるギャグマンガでもあり、『cine21』での連載が10年以上続いている人気作品です。タイトルの「チョンフニ」は作者の名前。
さて、先日、いつものように地下鉄の売店で『cine21』を購入、電車の中で「チョンフニ マンガ」のページを開いたら、かの「電車男」が取り上げられていました。韓国では9月7日封切、特異な素材を扱った日本映画として話題になっていたのです。
わくわくしながら読んでみると、これがなかなか面白い。ここをご覧の皆さんはネット上の交友関係や「2ちゃんねる」に関心のある方も多いでしょうし、このマンガを何とか紹介できないかなぁと思っておりました。と、『cine21』のサイトには、雑誌の記事だけでなく「チョンフニ マンガ」もアップされていることが判明。早速、韓国語の部分を日本語に直してみました。ちょっと面倒ですが、『cine21』のサイトに掲載されたマンガと下の日本語訳を見比べながらご覧になってみて下さい。よく言われる「便所の落書き」って比喩が比喩じゃないのが笑えます。
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1000万ネチズンたちが 恋愛指南に乗り出した100％感動実話！ 男 恋愛初心者 純情男 エレガンス 絶対美女 女 電車の中 酔っ払いから彼女を助けた 電車男 |
放送「電車がホームに入って…」 ギナム「あ…お腹が痛い…」 |
［ ←400M ］ ギナム「そんな！ 死にそうだ」 |
| 秒速2ｍの速度で無事に トイレに到着したナム・ギナム氏 ギナム「ハラハラした～」 |
ギナム「お？」 |
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| 彼はトイレの壁に書かれた 奇妙な落書きを見つけた。 ギナム「…」 |
生まれて初めて恋に落ちた ある青年の書き込みから始まり、 それにぶら下がる数々のコメントは 彼女が大好きで…どうかなったみたいです。 先輩たち、助けて下さい。 ↓ 恋愛初心者なんですねぇ (^^) 僕の経験では、こんな時は……ダラダラ ↓ かえって逆効果になりそう。むしろこう… |
普通男子トイレに書かれている 落書きとは次元が違って 右側を見なさい ← 何見てんだ？ 昨日学校でお腹が痛くて 保健室へ行ったんだけど、そうしたら 保健の先生が…… 恋人急募 身長：180 体重：72 よく… ハハ… |
| 真摯な忠告と助言で いっぱいだった。 ギナム「へぇ～ こんなことが…」 |
ギナム氏は次の日また そのトイレへ行ってみたが ギナム「まさか…」 |
驚いたことに コミュニティへと発展していた。 ＜こんにちは。 昨日青のマジックで書き込みした…＞ ＜ありがとう、先輩たち～＞ ＜彼女は今日も地下鉄に乗ってました？＞ |
| 時が流れ ギナム「…」 |
トイレ訪問が頻繁になり |
いつしか彼も コミュニティの一員となっていた。 ギナム「ハンドルは下痢男です。 初めましての挨拶を…」 |
| 掲示板が活気づく一方で |
荒らしも登場し ↓ 兄貴だ！ クソ垂れねえで落書きしてる ような奴らは兄貴にぶっ飛ばされっぞ。 ↓ シンハ兄貴、来たーー！ｗｗ （* シンハ＝独特な悪態の面白さで有名な ネチズン。自分を「兄貴」と呼ぶのが特徴。） |
スパム広告も しばしば書き込まれた。 ↓ 腎臓買います。010－203－28x0 ↓ ここにこんな文を載せたらダメです～ |
| 掲示板運営の最も難しい点は 「…」 |
掲示板管理者（？）が 内容と無関係に削除能力を 発揮することだったが 掃除人「この連中のせいで、 やってらんないわ」 |
会員たちはこれを 肯定的に受け入れたりもした。 ギナム「わぁ！ 掲示板が リニューアルしたんだ！」 僕が一番乗りだ |
半月後… －お知らせ－ オフ会やります。 日時：今週土曜7時 場所：ここ |
ついに オフ（？）会のお知らせが出た。 ギナム「皆の顔が見られるんだ」 |
ギナム氏は オフが待ち遠しかった。 ギナム「どんな人たちなのか、 すごく気になってたんだよなぁ」 |
土曜日 PM6：58 |
男Ａ「お互い自己紹介でもしようよ！…」 男B「シンハ兄貴婆ちゃんだ…」 掃除人「も一度落書きしたら、婆ちゃんに ぶっ飛ばされんよ！ ゴシゴシこすって！！」 |
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「オフに来たのかい？」 ギナム「あ！ ええ…」 |
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「便所の落書き」に笑いつつ、これにどんなオチをつけるのか見当がつかないまま読み進めたのですが、こう来るとは。シンハ兄貴婆ちゃん、やるぅ。
2006年9月13日（水）
久しぶりに大学路へやって来ました。もちろん芝居見物が目的ですが、街中もちょっと見物。韓国の繁華街はちょっとご無沙汰するとすっかり様子が変わってしまったりするのですが、大学路もわずか2か月の間にずいぶん新しいお店が増えていました。そして、こんなお店を発見！
日本風のしゃぶしゃぶの専門店です。しゃぶしゃぶのお店自体は韓国でも珍しくないのですが、このお店は看板を見ると白地に黒々と「샤브（シャブ）」。もちろん「しゃぶしゃぶ」という料理名から付けた店名です。それはそうでしょうけれど……でも、やっぱりねぇ。韓国では、植民地時代の「つめきり」「べんとう」から現代の「いじめ」「おたく」まで、様々な日本語がそのまま使われていたりするのですが、「シャブ」という言葉を知ってる人はいないのでしょうか。この写真ではちょっと分かりにくいですが、左の緑の看板にはお店のHPアドレスとキャッチフレーズが書かれています。その「샤브의 모든 것（シャブのすべて）」という文字を見た瞬間、賑やかな大学路の通りから私一人だけが歌舞伎町へワープしてしまったような、そんな錯覚に囚われたのでした。
一度入ってみたいような、入るのが怖いような。